【WS-4】High Content Screening技術を用いた組織切片の解析
1)株式会社パーキンエルマージャパン インフォマティクス事業本部
2)金沢医科大学 医学部 解剖学1
2)金沢医科大学 医学部 解剖学1
近年、様々な実験で扱うデータ量は増える一方で、迅速に意思決定を行い、活用することが求められている。本ワークショップにおいても、細胞画像から出力される1細胞ごとのパラメータや遺伝子の発現パターンなどもデータ量の多い実験系の一つである。ここでは、蛍光染色した組織切片をHigh Content Screeningの手法で解析した事例を紹介する。High Content Screeningはウェルプレートに播種した細胞を蛍光染色し、決められた方法で画像取得・画像解析し、細胞個々の様々なパラメータを出力する方法である。この実験手法を組織切片に応用すると、決められた方法で組織切片の全体を画像で取得し、画像解析し、細胞個々の様々なパラメータを取得することができる。共焦点顕微鏡を用いることで、Z方向の画像も取得できることから、3D画像を構築し、細胞個々のデータもX/Y座標だけでなく、Z座標も含む立体的な評価が可能になる。得られた細胞個々のパラメータを用いて、タンパクの発現量や形状の変化などから薬効評価や疾患の特定などを行う。また、特定のパラメータに着目するのではなく、数千のパラメータから主成分分析により、たとえば化合物を作用機序ごとに分類して教師データを作成し、未知化合物などを教師データに加えることで作用機序を予測することも可能である。組織切片をHigh Content Screeningの手法で解析することで、細胞個々の様々なパラメータを得るだけではなく、細胞の位置情報も得ることができる。今後のコンピュータの技術革新により、これまでできなかった様々な画像解析・数値解析、そして、空間での可視化などが可能になると思われる。