【WS-1】Organ-on-a-chipを使ったヒト疾患モデルとその利用
Mimetas Japan株式会社
健康な状態や病気の状態の生理学的な現象をOrgan-on-a-Chip(OOC)技術により包括的に捉えることができるようになってきている。近年では正常な組織のみならずチップの中でヒトの病態を再現する試みが行われるようになってきた。しかし、OOCの持つ複雑かつ緻密さ故、複雑な培養方法や特殊な装置が必要になる場合が多く、高効率に生理学的現象を数値化し解釈するに十分なデータを得ることができるアッセイ技術の開発が課題の一つである。その課題を解決したOOCがMIMETAS社の開発したOrganoPlateである。このOrgan-on-a-chipは培養自動装置や分析装置に応用することを想定してデザインされている。チップは384ウェルプレートのフォーマットをベースに設計し、底は平坦かつ薄い素材を用いることで、容易に顕微鏡を使って組織を観察できるようになっている。培養液の導入や回収はウェルを通じて行うことができるため、市販されているピペッターやチップを利用することができる。代表的な培養例としてチューブ状の血管様構造を再現した血管モデルがある。培養液の交換が容易であるため、この血管内に例えばサイトカインを添加することで炎症性血管をチップ内に再現することができる。また免疫系の細胞、例えばT-cellを導入することで免疫研究に利用することができる。本講演では血管に関連するスクリーニングの事例、それから免疫系の細胞の挙動を数値化することを試みた事例を紹介し、今後のOOCを疾患研究に利用する上での課題や展望を発表する。