第1日目 – 2022年7月29日 金曜日 (その他の会場)
15:30-17:20:ワークショップ( Webinar形式)
オンデマンド公開
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ワークショップ
「マルチモーダルな組織情報の可視化と解析プラットホーム」座長:松原 孝宜(株式会社 パーキンエルマージャパン)
八田 稔久(金沢医科大学 解剖学Ⅰ)
15:30-15:55
【WS-1】Organ-on-a-chipを使ったヒト疾患モデルとその利用江尻 洋子Mimetas Japan株式会社抄録
健康な状態や病気の状態の生理学的な現象をOrgan-on-a-Chip(OOC)技術により包括的に捉えることができるようになってきている。近年では正常な組織のみならずチップの中でヒトの病態を再現する試みが行われるようになってきた。しかし、OOCの持つ複雑かつ緻密さ故、複雑な培養方法や特殊な装置が必要になる場合が多く、高効率に生理学的現象を数値化し解釈するに十分なデータを得ることができるアッセイ技術の開発が課題の一つである。その課題を解決したOOCがMIMETAS社の開発したOrganoPlateである。このOrgan-on-a-chipは培養自動装置や分析装置に応用することを想定してデザインされている。チップは384ウェルプレートのフォーマットをベースに設計し、底は平坦かつ薄い素材を用いることで、容易に顕微鏡を使って組織を観察できるようになっている。培養液の導入や回収はウェルを通じて行うことができるため、市販されているピペッターやチップを利用することができる。代表的な培養例としてチューブ状の血管様構造を再現した血管モデルがある。培養液の交換が容易であるため、この血管内に例えばサイトカインを添加することで炎症性血管をチップ内に再現することができる。また免疫系の細胞、例えばT-cellを導入することで免疫研究に利用することができる。本講演では血管に関連するスクリーニングの事例、それから免疫系の細胞の挙動を数値化することを試みた事例を紹介し、今後のOOCを疾患研究に利用する上での課題や展望を発表する。
15:55~16:20
【WS-2】イメージングと定量の自動化とその恩恵塩田 良株式会社パーキンエルマージャパン抄録
1590年にヤンセン父子によって原型が発明されてから、顕微鏡はライフサイエンスの現場で、微生物から組織切片、細胞、オルガネラにいたる生命活動の詳細な情報と知識を写し出してきました。顕微鏡から産み出されるデータは、その歴史の大部分で、人の目による観察と手の操作によって蓄積されてきました。しかしながら昨今のデジタル革命により、データ取得が大幅に簡略化されるようになり、研究者は暗室で過ごす時間を短縮できるようになっています。さらに、コンピューターの発達により、機械学習などを含め組織や細胞画像の解析能力が飛躍的に高まっており、観察から得られた情報のみならず数値による裏付けがより重要視されるようになりつつあります。 本講演では、顕微鏡を対象にした自動撮像と画像解析を概説し、その中でも特に自動化が進んでいるハイコンテントイメージングを例にあげ、自動化の現在地と、その長所や利点に言及します。
16:20~17:45
【WS-3】Visium 空間解析が可能にする組織内遺伝子発現のマッピングと定量化雨貝 陽介10x Genomics抄録
遺伝子発現を形態学的な情報と共に評価することは、生物学と疾患を理解する上で非常に重要です。これまで、複雑で不均一な組織を空間的に解析することは、発現している遺伝子についてある程度の仮説がない限り困難でした。本日ご紹介する10x Genomics のVisium という製品は、HE染色または免疫蛍光染色された新鮮凍結切片またはFFPE組織切片全体の遺伝子発現(トランスクリプトーム)を、形態的な情報を保持しつつマッピングすることができます。 Visiumによって、組織切片での細胞機能、表現型、細胞間相互作用と位置関係をどのように包括的に理解することができるのか、ぜひご覧ください。遺伝子発現に関する空間的な洞察を加えることで、生物学を新しい角度から捉えることができるようになります。
16:45~17:10
【WS-4】High Content Screening技術を用いた組織切片の解析松原 孝宜株式会社パーキンエルマージャパン インフォマティクス事業本部抄録
近年、様々な実験で扱うデータ量は増える一方で、迅速に意思決定を行い、活用することが求められている。本ワークショップにおいても、細胞画像から出力される1細胞ごとのパラメータや遺伝子の発現パターンなどもデータ量の多い実験系の一つである。ここでは、蛍光染色した組織切片をHigh Content Screeningの手法で解析した事例を紹介する。High Content Screeningはウェルプレートに播種した細胞を蛍光染色し、決められた方法で画像取得・画像解析し、細胞個々の様々なパラメータを出力する方法である。この実験手法を組織切片に応用すると、決められた方法で組織切片の全体を画像で取得し、画像解析し、細胞個々の様々なパラメータを取得することができる。共焦点顕微鏡を用いることで、Z方向の画像も取得できることから、3D画像を構築し、細胞個々のデータもX/Y座標だけでなく、Z座標も含む立体的な評価が可能になる。得られた細胞個々のパラメータを用いて、タンパクの発現量や形状の変化などから薬効評価や疾患の特定などを行う。また、特定のパラメータに着目するのではなく、数千のパラメータから主成分分析により、たとえば化合物を作用機序ごとに分類して教師データを作成し、未知化合物などを教師データに加えることで作用機序を予測することも可能である。組織切片をHigh Content Screeningの手法で解析することで、細胞個々の様々なパラメータを得るだけではなく、細胞の位置情報も得ることができる。今後のコンピュータの技術革新により、これまでできなかった様々な画像解析・数値解析、そして、空間での可視化などが可能になると思われる。
17:10~17:20
総合討論
17:30-18:30:ポスター討論 (展示スペース 1F)
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ポスター討論
演題番号 奇数:17:30~18:00
偶数:18:00~18:30
※現地会場に来られた発表者との討論となります。