【S7-4】日本におけるTIS黎明期から現在まで
虎の門病院 薬剤部
サリドマイドの教訓により、医療従事者はもとより一般の妊婦にも薬物の催奇形性に関する認識が普及し、むしろ過剰な不安を抱く傾向がある。第二のサリドマイド禍を避けるための慎重な配慮の一方で、胎児への影響を懸念するあまり必要な薬物療法が控えられることによる母児の不利益は避ければならない。
治験では、倫理的な配慮から妊婦は一般に除外対象と規定されている。このため新医薬品のヒト胎児への安全性は明らかではないことが多い。このため添付文書には薬物療法の原則論にとどまる記載が多く、医療従事者の判断を難しくしていた。
周産期医療に従事する医師・薬剤師が「生殖発生毒性試験」、「薬剤疫学研究」、「症例報告」、「薬理試験」、「薬物動態試験」等の情報を評価し、妊婦やその家族に薬剤の影響を理解できるよう情報提供できる体制を整えたのが催奇形情報サービス(TIS:Teratology Information Service)の始まりである。
TISのネットワークとして、米国ではOTISが1987年に、欧州ではENTISが1990年に活動を開始した。日本においては1988年に初めてのTISとして虎の門病院に「妊娠と薬相談外来」が開設された。その後、2005年には厚生労働省事業として国立成育医療研究センターに妊娠と薬情報センターが設置され全国47都道府県に拠点病院が設置されTISのネットワークが完成した。
日本におけるTIS黎明期から現在までを振り返り、虎の門病院妊娠と薬相談外来を中心に、科学に基づく臨床と、Informed Decision Makingによるカウンセリング、臨床アウトカムに基づく疫学研究について概説する。
治験では、倫理的な配慮から妊婦は一般に除外対象と規定されている。このため新医薬品のヒト胎児への安全性は明らかではないことが多い。このため添付文書には薬物療法の原則論にとどまる記載が多く、医療従事者の判断を難しくしていた。
周産期医療に従事する医師・薬剤師が「生殖発生毒性試験」、「薬剤疫学研究」、「症例報告」、「薬理試験」、「薬物動態試験」等の情報を評価し、妊婦やその家族に薬剤の影響を理解できるよう情報提供できる体制を整えたのが催奇形情報サービス(TIS:Teratology Information Service)の始まりである。
TISのネットワークとして、米国ではOTISが1987年に、欧州ではENTISが1990年に活動を開始した。日本においては1988年に初めてのTISとして虎の門病院に「妊娠と薬相談外来」が開設された。その後、2005年には厚生労働省事業として国立成育医療研究センターに妊娠と薬情報センターが設置され全国47都道府県に拠点病院が設置されTISのネットワークが完成した。
日本におけるTIS黎明期から現在までを振り返り、虎の門病院妊娠と薬相談外来を中心に、科学に基づく臨床と、Informed Decision Makingによるカウンセリング、臨床アウトカムに基づく疫学研究について概説する。