【O-54】重度の顔面裂に羊膜索症候群による眼瞼披裂を伴った症例
1)富山大学大学院 学術研究部医学系 歯科口腔外科学講座
2)ハサヌディン大学歯学部歯科口腔外科
2)ハサヌディン大学歯学部歯科口腔外科
口唇口蓋裂は体表異常で最も多い疾患であるが、それ以外の顔面裂は非常に稀である。また羊膜索症候群は、胎盤の羊膜が索状物となり、胎児の頭部・顔面・四肢などに絡むことで体表異常を引き起こすことが知られている。今回、非常に重度な顔面裂と羊膜索症候群と考えられる両眼瞼異常を伴った症例を経験したので報告する。症例は2歳、女児。Tessier3および4の顔面裂と両眼瞼の外側に羊膜索症候群と考えられる強い瘢痕を有し、左眼球には索状物が癒着し眼球運動を阻害していた。顔面部以外には明らかな異常は認めなかったため、全身麻酔下に形成術を施行し、その後も何度か修正術を実施した。現在は読み書き可能な視力を有し、小学校に通学している。顔面裂に羊膜索症候群が関連した報告は多いが、両側性で且つ完全披裂を呈する顔面裂と、羊膜索による眼瞼異常を有する症例は報告がなく、非常に稀であると考えられた。