【O-46】低酸素応答因子Hif1αによる抑制性介在神経の発生制御
1)金沢医科大学 一般教育機構 生物学
2)金沢医科大学 医学部 解剖学I
2)金沢医科大学 医学部 解剖学I
低酸素応答因子であるHif1αの全身性欠損により、中枢神経系や心血管系などの発生に異常をきたすことから、妊娠期における胎児組織内の酸素濃度の変動が、先天異常のトリガーとなることが示唆される。我々は、大脳発生におけるHif1α欠損の影響を調べるために、Hif1αの神経前駆細胞特異的ノックアウトマウス(Hif1α-cKO)を作成した。Hif1α-cKOの大脳を用いて免疫染色を行った結果、GABA陽性細胞が線条体内に異所的に産生されていることを発見した。このGABA陽性細胞は、尾側基底核隆起(CGE)由来の抑制性介在神経のマーカー遺伝子を発現していた。これらの結果から、Hif1αが線条体神経が産生される外側基底核隆起(LGE)領域において抑制性介在神経の発生を抑制していることが示された。また、Hif1αの機能不全が自閉症スペクトラム症やてんかんなどの神経活動の興奮/抑制バランスの破綻に起因する疾患の発症に関与することが示唆された。