【O-45】幼少期ストレス経験による攻撃制御機構の破綻
1)香川大学 医学部 形態・機能医学講座 神経機能形態学
2)香川大学医学部小児科
2)香川大学医学部小児科
虐待・育児放棄等の幼少期ストレスはその後の反社会的行動に繋がる事が報告されているがその成因は明らかとなっていない。そこで我々は乳幼児期の育児放棄を想定した母子分離モデルの成熟後の過剰な攻撃性に焦点を当て、原因となる脳領域の特定を目指した(香川大学動物実験委員会:承認番号21621)。 母子分離モデルでは攻撃行動に伴って扁桃体中心核(CeA)のc-Fos陽性細胞数が増加しており過剰な活性状態にある事が見出された。更にCeAと攻撃性の直接的な関係を調べるため、光遺伝学的手法で確認したところCeAの活性に同期する形で暴力的な攻撃が惹起される事が確認された。これは母子分離モデルの攻撃性の一端がCeAの過剰な活性状態に起因している事を支持するものである。これらの結果は虐待・育児放棄が幼少期の段階でCeAを中心とした攻撃制御機構を恒常的に破綻させ、それが将来的な暴力を伴った反社会的行動に繋がる事を示唆するものである。