【O-43】母体の過剰免疫活性化による前部帯状回におけるパルブアルブミン陽性細胞の減少
1)島根大学 医学部 免疫精神神経学共同研究講座
2)量子科学技術研究開発機構
3)(株)RESVO
2)量子科学技術研究開発機構
3)(株)RESVO
胎児期の母体の感染症などによる強い免疫活性(MIA)が引き起こす脳機能障害の全貌は明らかになっていない。近年、我々の研究グループはPETを用いてMIAモデルラットの前部帯状回(ACC)におけるドーパミンD2受容体(D2R)密度低下を明らかにした。D2RはACCのパルブアルブミン(PV)陽性細胞に発現していることや同部位のPV陽性細胞は認知機能に深く関与していることから、MIAモデルラットのACCにおけるPV陽性細胞を評価し、更に認知機能について検討を行った。その結果、MIAモデルラットのACCにおいて有意に減少していた。認知機能についてPPIテストで評価した結果、MIAモデルラットにおいて有意な減弱を認めた。この結果は、Oh-Nishi 2022で明らかになったACCにおけるD2Rの減少はPV陽性細胞の減少が背景にあることを示唆していた。MIAによって起こるPV陽性細胞の障害もまた統合失調症の発症メカニズムの理解に重要であると予想される。