【O-39】放射線照射したゼブラフィッシュ仔魚の顎形成不全に対する葉酸の保護作用機構解析
1)三重大学 大学院 医学系研究科 統合薬理学
2)青山学院大学理工学部化学・生命科学科
2)青山学院大学理工学部化学・生命科学科
本研究では、発達期のゼブラフィッシュに対する放射線照射が顎形成に与える影響と、それに対する葉酸の保護作用について検討した。ゼブラフィッシュ仔魚の顎形成に影響するX線照射の条件を検討したところ、受精36時間後に8GyのX線を照射することで著明に顎形成が障害されることを見出した。また、X線照射の1時間前から葉酸(200 microM)を投与することにより、X線照射による顎形成の障害が有意に抑制されることを見出した。X線照射による顎形成の障害メカニズムと、葉酸の保護作用機構の解明を目的としてRNA-Seqを実施した。その結果、X線照射によりp53に関連する様々なシグナル経路が異常となり、その一部の経路が葉酸投与により回復する可能性が示唆された。これらの経路に関与する遺伝子をゲノム編集したゼブラフィッシュを用いてさらに解析することにより、器官形成期の放射線照射による先天異常の病態メカニズムの一端解明につながることが期待される。