【O-38】ヒト胚子期における蝶形骨の初期形態発生:位相X線CTを利用した3D立体構築の試み
1)京都大学 大学院医学研究科 形成外科学
2)京都大学 大学院医学研究科 附属先天異常標本解析センター
3)九州シンクロトロン光研究センター
4)京都大学 大学院医学研究科 人間健康科学系専攻
2)京都大学 大学院医学研究科 附属先天異常標本解析センター
3)九州シンクロトロン光研究センター
4)京都大学 大学院医学研究科 人間健康科学系専攻
蝶形骨は頭蓋底を構成する骨の一つであり、その形態は多くの研究者の関心を集めてきただけでなく、その近傍に頭蓋顔面の成長点が存在すると推測されているため発生学的にも重要である。本研究は、発生初期のヒト蝶形骨の形態形成を3D可視化した初の試みである。対象は、ヒト胚子(カーネギーステージ17-23)の組織切片54体、位相X線CTデータ57体とした。各ステージの3Dモデルから、成長に伴うdynamicな形態変化や、神経孔の形成過程、蝶形骨前部と後部の形態変化の差異などが明らかとなった。また、CT正中矢状断像により正確な頭蓋底の角度を測定することができた。その結果、角度に影響するのは、単なる体長の増大ではなく何らかの発生学的事象である可能性が示唆された。本研究は、蝶形骨の成長の形態的指標を確立すると共に、顔面の正常発生や先天異常における蝶形骨の役割を理解する一助になると考えられた。本研究は倫理委員会の承認を得て実施された。