【O-33】脳血管異常を伴うPHACE症候群の巨大顔面血管腫に対して、プロプラノロールで治療した1例
東京都立小児総合医療センター
PHACE症候群は頭頸部血管腫・脳血管異常・心血管異常等を合併する疾患である。β遮断薬は乳児血管腫の第一選択薬だが、脳血管異常合併例では、脳灌流を低下させるため脳梗塞リスクが高いと考えられていた。近年PHACE症候群にも副作用なくβ遮断薬を使用した報告があるが、詳細の記載はない。今回、脳血管異常を併発したPHACE症候群の血管腫の治療経過の詳細を報告する。両側内頚動脈と左中大脳動脈に異常のあるPHACE症候群の2か月女児が、潰瘍を合併した左側顔面血管腫に対するβ遮断薬の導入のため入院した。プロプラノロールを0.5mg/kg/dayから開始し、潰瘍の状態に合わせて1~2週間毎に0.5mg/kg/dayずつ漸増したところ、徐脈・低血圧・脳卒中等の副作用なく血管腫は改善した。退院後もプロプラノロール1.5mg/kg/dayを継続している。今回は脳血管異常のあるPHACE症候群に対しても、β遮断薬を最小量から漸増することで、副作用なく治療効果を得た一例を報告する。