【O-32】マウス歯胚形成過程におけるフェニトイン投与による低酸素負荷の影響
1)九州大学大学院歯学研究院 口腔顎顔面病態学講座 顎顔面腫瘍制御学分野
2)産業医科大学 産業保健学部 人間情報科学
3)九州歯科大学 健康増進学講座 解剖学分野
2)産業医科大学 産業保健学部 人間情報科学
3)九州歯科大学 健康増進学講座 解剖学分野
【目的】先天異常は、胎生期における遺伝要因と環境要因の複合作用により発症する。しかし、環境要因として低酸素負荷を与えた場合に歯胚形成に及ぼす影響については不明な点が多い為、本研究で解析を試みた。【方法】低酸素環境の再現として、母体と胎仔に低酸素状態を引き起こすフェニトイン(PHT)を妊娠マウスに投与し、胎仔歯胚のH&E染色および免疫組織化学染色(IHC)を行った。矢状断切片上で野生型歯胚の切歯と第一臼歯の根尖側開口部の最大径を計測し、比較した。【結果】H&E染色にて胎仔切歯歯胚歯髄内に血管拡張と象牙芽細胞の一部消失がみられ、IHCでは切歯象牙芽細胞で低酸素マーカー陽性を呈した。歯胚の根尖側最大径は、臼歯の方が切歯よりも有意に開大していた。【結論】妊娠マウスへの低酸素負荷により特に上顎切歯歯胚に形成不全が生じた。切歯と臼歯の表現型の相違は歯胚の根尖側の開口度の違いが影響した可能性が示唆された。