【O-26】ニワトリ胚における心内膜床形成過程でのCxcl12 mRNAの局在
埼玉医科大学 保健医療学部 臨床検査学科
胚心臓の流出路や房室管領域に形成される心内膜床は中隔や弁の原基であり、その形成不全は先天性心疾患の原因となる。心内膜床は心内皮細胞が間葉に形質転換(内皮-間葉形質転換)し、心内皮細胞と心筋層の間の心ゼリーに侵入・増殖して作られる。この過程において間葉細胞の浸潤は一定の領域まで見られるが、心筋に近い領域では少ない。一方、Cxcl12は分泌性タンパク質であり、胚発生、細胞の移動、がんの転移・増殖などに関係する。しかし、心内膜床形成過程での役割は明らかでない。そこで心内膜床形成でのCxcl12の役割を明らかにするため、ニワトリ胚心臓発生過程でのCxcl12 mRNAの局在を調べた。Cxcl12 mRNAはステージ(st)18の房室管領域に弱く発現し、st23になると間葉細胞の一部に局在した。st26では心筋に近い間葉に発現が観察できた。Cxcl12シグナルの局在は、心内膜床の間葉細胞の移動、または増殖の調節に関与している可能性を推測させた。