【O-20】胎児特有のscarless wound healingを臨床に持ち込むための試み
1)滋賀医科大学 形成外科講座
2)滋賀医科大学 口腔外科講座
3)滋賀医科大学 生命情報開拓講座
2)滋賀医科大学 口腔外科講座
3)滋賀医科大学 生命情報開拓講座
胎児における創傷治癒は出生後と異なり、皮膚付属器を含めた完全な再生が可能である。一方社会の成熟化により、「キレイな傷」を求められる時代になった。しかし完璧に縫合しても傷は消えない線状瘢痕であり、付属器は再生しない。今回、我々はラット皮膚軟部組織・骨膜欠損モデルにscaffoldを埋め込むことにより、骨膜および皮膚構造および付属器を再生することに成功した。次にGFPラットから骨髄を採取し、放射線照射した野生ラットに骨髄移植を行った。このラットに皮膚軟部組織・骨膜欠損を作成しscaffoldを埋め込んで解析したところ、創傷に分布するendothelial cell, pericyteにはGFP陽性であった。一方、骨膜や皮膚付属器の再生にはGFP細胞の関与は見られなかった。以上から、骨髄幹細胞が創傷の血管を形成した後、組織幹細胞が組織を再生する環境をscaffoldによって整えられれば成人でも胎児特有のscarless wound healingを実現できると考える。