【O-11】多点電極アレイシステム(MEA)を用いたヒトiPS由来神経細胞によるピレスロイド発達神経毒性の評価
国立医薬品食品衛生研究所 薬理部
化学物質が発達段階のヒト神経に及ぼす毒性は広く懸念されるが、種や発生段階の違いのため、動物試験による評価が困難である。動物を用いた発達神経毒性試験は多くの動物を必要とし、コスト上も負担が大きい。本研究では、ヒト多能性幹細胞(hiPSC)由来ニューロンに対するピレスロイド系農薬の毒性を、多点電極アレイ(MEA)システムを用いて評価した。ピレスロイドばく露により、バーストあたりスパイク数やバースト持続時間等の神経機能が用量依存的に低下した。 RT-PCRにより、hiPSC由来ニューロンにおいてピレスロイド感受性ナトリウムチャネル(VGSC)α2、α3、α8、およびβ3サブユニットの発現を確認した。自発運動量をエンドポイントとした動物試験と比較し、MEAパラメーターの神経毒性評価における感度が高いことが示された。ヒトiPSC由来ニューロンを用いたMEAシステムによる評価系は、神経毒性化学物質の効果的なスクリーニング系となる可能性がある。