【O-8】N-カドヘリン異常によるA先天異常症候群
1)大阪母子医療センター遺伝診療科・研究所
2)慶應義塾大学臨床遺伝学センター
2)慶應義塾大学臨床遺伝学センター
カドヘリン(CDH)は、カルシウム依存的に細胞と細胞を接着させる重要な細胞接着分子である。細胞外ドメインをもつ細胞膜タンパク質であり、ヒトでは100種類を超えるスーパーファミリーがある。CDHは、上皮細胞の接着や神経細胞でのシナプスを含む細胞-細胞間接着部位に局在し、主にホモフィリックな接着機能を介して細胞間相互作用を制御するが、シグナル伝達を行う場合もある。AccogliらはN-CDHをコードするCDH2遺伝子変異を9症例で同定した。知的障害、脳梁形成異常、眼異常、先天性心疾患などが特徴である。本邦初例を経験した。症例は20歳女性。重度知的障害、脳梁欠損、ピータース奇形、大動脈縮窄症、低身長を認めた。全ゲノム解析の結果、CDH2にc.1522G>C、p.Glu508Glnをde novoで同定した。N-CDHは眼球、脳梁形成など神経系および心臓の発生に重要な役割を持つことが示唆される。