
【O-2】ビタミンA過剰マウス精上皮周期に着目した精巣毒性評価法の開発
1)国立医薬品食品衛生研究所 毒性部
2)熊本大学大学院 生命科学研究部
2)熊本大学大学院 生命科学研究部
環境要因による精子への有害影響は次世代へと継承され、先天異常のトリガーとなり得る。しかし、精子が成熟するまでには多くの時間を要するため、その影響を早期に予測可能な精巣毒性評価法の開発が待たれる。これまでに我々は、ビタミンA(VA)過剰マウス精子頭部の形態異常率が亢進すること(Yokota et al. Andrology. 2021)、さらには、雄親由来の児の脳発達に影響が生じることを解明した。本研究ではまず、蛍光標識PNAレクチンによるマウス精上皮周期の迅速同定法を新規に開発した。HE染色による病理組織解析においてはVA過剰による精巣毒性が検出されなかったが、同法に、さらに細胞マーカー抗体による免疫染色法を組み合わせることにより、精上皮ステージVII,VIIIにおいて、VA過剰群では減数分裂開始に重要な役割を担うプレレプトテン期精母細胞数が減少することを見出した。これらの結果から、精子毒性を早期に予測可能な本評価法の有用性が示された。