【ES-2】腎臓の発生
北海道大学 大学院獣医学研究院 基礎獣医科学講座 解剖学教室
胎子期において、頸部~仙骨部両側の中間中胚葉は、その頭側から順に前腎、中腎、後腎をそれらの存在時期を重複させながら発生し、機能する。一般的に、爬虫類、鳥類、哺乳類では、前腎と中腎に代わり後腎がいわゆる終生腎・永久腎となる。
前腎が退行し、中腎が排泄器官としての機能を残している時期に、中腎管の尾側部で尿管芽が分岐する。また、同時期に中腎後位で中間中胚葉が増殖・肥厚し、後腎芽体(後腎原組織、後腎間葉凝集体)を形成し、そこに尿管芽が入り込む。後腎芽体に接着した尿管芽は分岐し、腎杯を形成する。腎杯からは集合管が伸び、後腎芽体中に入り込む。集合管はさらに細管を分岐し、その細管の先端部周囲に後腎芽体の細胞は集簇する。この細胞集団から後腎小胞が分かれ、後腎小胞はその長さを増し、コンマ字体、S字体と呼ばれる形態を示して迂曲し、ネフロン(糸球体包、近位尿細管、薄壁尿細管、遠位尿細管)を形成し、その先端は集合管細管と結合する。糸球体包には血管が入りこんで毛細血管網(糸球体)を形成し、将来の糸球体包内壁と外壁に分かれ、腎小体が形成される。このような後腎は、初期では胎子の腰仙骨部付近にみられるが、発生の進行と共に、後腎に分布する血管をより頭側から分岐する血管と入れ替え、後腎は頭側方向に移動する(腎上昇)。
本講義ではヒトや動物の知見を基に前腎、中腎および後腎の発生について概説する。また、後半では腎臓の発生異常をヒトと動物で比較しながら考察したい。
前腎が退行し、中腎が排泄器官としての機能を残している時期に、中腎管の尾側部で尿管芽が分岐する。また、同時期に中腎後位で中間中胚葉が増殖・肥厚し、後腎芽体(後腎原組織、後腎間葉凝集体)を形成し、そこに尿管芽が入り込む。後腎芽体に接着した尿管芽は分岐し、腎杯を形成する。腎杯からは集合管が伸び、後腎芽体中に入り込む。集合管はさらに細管を分岐し、その細管の先端部周囲に後腎芽体の細胞は集簇する。この細胞集団から後腎小胞が分かれ、後腎小胞はその長さを増し、コンマ字体、S字体と呼ばれる形態を示して迂曲し、ネフロン(糸球体包、近位尿細管、薄壁尿細管、遠位尿細管)を形成し、その先端は集合管細管と結合する。糸球体包には血管が入りこんで毛細血管網(糸球体)を形成し、将来の糸球体包内壁と外壁に分かれ、腎小体が形成される。このような後腎は、初期では胎子の腰仙骨部付近にみられるが、発生の進行と共に、後腎に分布する血管をより頭側から分岐する血管と入れ替え、後腎は頭側方向に移動する(腎上昇)。
本講義ではヒトや動物の知見を基に前腎、中腎および後腎の発生について概説する。また、後半では腎臓の発生異常をヒトと動物で比較しながら考察したい。